やるべきこと

 

自分のこと、まじでクズな人間だと思ってる。

就職が延びてしまって、急にお暇ができた。今まで朝からずっとやることがあったけど、急になくなって戸惑っている。

それに何もかも考えたくない。そういう時の時間の過ごし方が私はいつも下手だ。

 

昨日やりきれなさと疲れがどっときて、夫が仕事から帰ってきて開口一番「もう何も考えたくない」「暇を持て余しすぎているけれど、何をしても楽しくない」ということを話した。新しい仕事で疲れて帰ってきたところに朝と同じ格好で部屋も整わず、「何も考えたくないから全部何もかも考えてくれ」と雑に伝えてしまったので普通に喧嘩になったし険悪な空気になった。でもご飯を食べて満腹になり、気持ちも落ち着いたら前向きに話せて、「当分は判断を夫が担い」、「やるべきことがないときついなら、やるべきことを作る」ことになった。とりあえず今日1日のタイムテーブルを作ってくれた。判断を担うのはちょっと難しいかもしれないし、どうせ元気が出たらそこら辺は手伝うんだろうけど、とりあえず心意気だけはありがたい。少しずつできるようになってほしい。

 

今日は夫のタイムテーブルに沿って動いた。洗濯しか「やるべきこと」はないようなもんだったけど洗濯だけちゃんとやった。図書館にも行ったし映画も見た。掃除も気が向くぶんはやった。それでも時間は余るし、夫の帰りを待つだけの時間がこんなにもしんどい。そう言えば昔から、「やりたいこと」をやる時間って人生の中でもさほどなかったかもしれないな。経験不足なのかも。

就職が決まってないけどほぼ確定ですと言われているし、雇用保険の中で休んでいるのでバイトも難しい。働くことを制限されているようできつい。急なお暇で、本当に今まで私の中で「働く」とか「やるべきことをやる」ってことだけが人生の退屈を紛らわすことができる手段だったんだなってのを痛いほど痛感している。就職が決まりそうなところに、「やっぱ無理でした」と言われたら「これで暇がなくなる!」と喜びそうなくらい暇。日中自転車で外に出ると、主婦の方やお年を召した方々が買い物に出たりしているのを見かけるけれど、まじで歩くスピードも買い物のスピードも遅くてびっくりする。ゆっくりと時間を過ごしていないと、もしかしたら退屈すぎて死んでしまうのかもしれない。

コロナの影響がもしなければもしかしたら遠出したりもしていたかもしれないけれど、毎日毎日防災無線で感染防止の呼びかけと迷い老人の放送とが繰り返し流れているので、なんとなく外出の気持ちも失せるし、少し滅入る。

 

今日は映画を観る時間が2時間半設定されていたので、「ステキな金縛り」を観た。142分でちょうど良さそうだったのと、三谷幸喜作品は一人で観るのに重すぎず冗長でもなく最適な気がしたから。そしてその期待に違わない映画だった。一人で映画を見る時間がこれからもタイムテーブルに組み込まれたら、三谷幸喜作品を片っぱしから見ようと思う。

あと図書館で、星野源さんのエッセイ「働く男」と、西加奈子さんの「白いしるし」と、米澤穂信さんの「氷菓」を借りた。重すぎないように慎重に選んだ。

氷菓は最近映画も見たけれど、小説は映画とは少し結末が違うらしい。アニメはすごく透明感のある作品らしいけれど、映画はどことなく灰がかった雰囲気の作品になっていた。ホラー映画が評価されている監督さんの作品らしい。高校生活って鬱屈としているのにおどろおどろしくない感じがあるから、映画の雰囲気は全然違和感がなかった。小説はどうなんだろう。内容を知っている作品の小説を読むのは、答え合わせと間違い探しをするようで少しドキドキする。星野源さんのエッセイはタイムリーなので借りた。前回もタイムリーって理由だけで「そして、生活は続く」を借りて読んだけれど、軽快になろうとしている人間の生活って感じでよかった。そういえば最近、求職者訓練で出会った元デザイナーの方と、「穏やかに過ごしたいけどなかなかそういう人生になっていかない」って話をしたな。私もその人も、やるべきことが見つかれば頑張ってしまうタイプの人間だけど、「やるべきこと」にあんまり見境がない人間だ。振って湧いたような話にぱっと飛び込んで、そこで試行錯誤していく類の人間。振ってわいたようなことに飛び込んで真摯になれる人間ってあんまりいないなと思っている。私は体力や気力がついていかない時も多いのでまだまだ修行が必要だけれど、その人は本当にいろんな才があって、星野さんのエッセイから感じ取れる星野さん像にも通ずるところを持った人だった。コロナ禍で仕事が途切れてしまったと話していたけれど、ちゃんとやりたいことを見つけて就職まで漕ぎ着けていて、本当にすごい人だと思う。星野さんのエッセイは隣人の話を聞いているみたいな感じだ。これもきっと軽やかに読み切れると思う。

 

今夫から連絡がきた。もう少しで夫が帰ってくる。今日は豚肉と野菜のコチュジャン炒めと中華スープってタイムテーブルに書かれてた。もう少し準備に時間のかかるものにしてくれると暇を持て余さなくて助かるなと思うけど、タイムテーブルに忙殺されても困るので言わないでおこうと思う。